基礎知識 2023.09.06
【法人向け】太陽光発電の費用対効果は?回収年数や維持管理費について分かりやすく解説!
太陽光発電所の設置を検討する際、多くの企業は「実際にはどれくらいの費用対効果が期待できるのか?」や「維持管理にはどれくらいのコストがかかるのか?」という疑問を持つのではないでしょうか?
特に大きな企業ほど、長期運営のコストパフォーマンスは極めて重要となります。
この記事では、太陽光発電の投資効果や、維持管理に必要なコストについて解説していきます。
目次
太陽光発電の設置費用の目安
太陽光発電設備の費用は、その条件や要因によって大きく変わります。
費用に影響する主な要因は、以下の4点が考えられます。
①設置容量
②使用機器のメーカーや機種等
③工法(屋根の形状等)
④設置のタイミング
これらの要因について、以下で詳しく解説します。
変動の要因①太陽光発電設備の設置容量(kW)
太陽光発電の設置費用を決定する最も大きな要因は、設備の容量です。
当然、設置容量が大きければ、必要なパネルの数や関連機器も多くなり、初期費用は上がります。
しかし、大きな容量の設備は多くの電気を生み出すため、長期的に見ると投資の価値は高まります。
もちろん、施設の必要な電力量にもよりますが、一般的には大きな容量の設備の方が費用対効果は高い傾向にあります。
予算や電力使用量を考慮して、最適な容量を選ぶことが大切です。
事業用太陽光発電の設置費用の推移
上記のグラフは、2022年の事業用太陽光発電システムの設置コストの変動を示しています。
設置容量(kW)に関わらず、コストは全般的に低下しています。
特筆すべきは、10kW以上のシステムの平均コストが23.6万円/kWとなり、これは前年と比較して1.2円/kW(5.0%)減少しています。
また、2012年の固定価格買取制度の導入以降、太陽光発電システムの設置費用は年々低減しているため、現在では以前よりも格段に手頃な価格での設置が可能となっています。
変動の要因②メーカーごとに機種や機器の価格
使用する機器のメーカーや機種は、価格変動の一因です。
特に、海外製と国内製の機器とでは、価格に顕著な違いがみられることが多いです。
国内メーカーの機器は、一般的に価格が高めに設定されていますが、その背景にはいくつかの理由があります。
国内メーカーは、日本の特有の気候や環境に合わせた製品を提供しています。
これは、日本での実証実験を元にした研究開発や、日本の気候に合わせた製品設計が含まれます。
さらに、国内メーカーは、製品に関するアフターサポートやトラブル時の対応も充実しています。
一方、海外メーカーの機器は、価格が安いというメリットがあります。
その安さの背景には、大規模な生産体制や、海外市場における先行した価格競争が影響しています。
大量生産によるコスト削減や、日本より早い段階からの事業者間の価格競争により、製造コストやマージンが低下したことが挙げられます。
結論として、長期的な実績や充実したアフターサポートを優先するのであれば国内メーカーの選択が推奨されます。
一方、初期投資を重視し、コストを最小限に抑えたい場合は、海外メーカーの製品を検討することもおすすめです。
変動の要因③屋根環境・屋根材
設置予定の屋根の特性や使用されている材料は、太陽光発電設置の際の費用に影響を与える要素として考慮されています。
具体的な理由は、以下の2点です。
まず、1点目は使用されている屋根材により、取り付ける際の工法が異なる点が挙げられます。
例えば、ハゼ折版屋根は、瓦屋根と比較して、より安価なコストで太陽光発電の設置が行えます。
発電量自体は屋根材によって変わらないため、ハゼ折版屋根の場合、費用対効果が瓦屋根より高くなる可能性があります。
次に、2点目は、屋根の環境やその状態も考慮する必要があります。
例えば、工場の屋根で、ダクト周辺が汚れている場合を想定してみましょう。
もし、この汚れたダクト付近に太陽光パネルを設置すると、ダクトから飛び散る汚れがパネルに付着する恐れがあります。
パネルの表面が汚れると、発電効率の低下を招く可能性があります。
したがって、このような汚れが発生しやすいエリアは、太陽光発電の設置個所から避けるのが賢明です。
変動の要因④設置のタイミング
太陽光発電設置のタイミングは可能であれば建物新築時が最適です。
その理由は、屋根の強度をはじめから太陽光パネルの設置を考慮して設計できるため、後から設置する場合に比べて制限が少なくなるからです。
電気の使用量が多い場合、屋根全体にパネルを設置することで発電効率を最大化し、コストの効果も高まります。
太陽光発電の費用対効果
費用対効果は、投資した金額に対して得られる成果を示す指標です。
以下で、この費用対効果の計算方法について解説します。
費用対効果の考え方、計算式
太陽光発電設備の設置費用は、さまざまな条件で大きく変動します。
ただし、最も重要なのは、投資金額に対してどれだけ成果を得られるかです。
ここで言う「投資金額」とは、初期投資費だけでなく、維持や管理のコストも含めた総額を指します。
太陽光発電の経済的な費用対効果は以下のように計算できます。
費用対効果=(売電収入額+電気代削減金額)÷(設備設置費+維持管理費)
この計算に基づくと、太陽光発電設備の投資は、おおよそ10年で回収するのが適当とされます。
しかし、10年以上経った後も太陽光発電は機能し続け、電気代の節約が期待できるため、投資額の回収に10年以上かかっても必ずしも損をするわけではありません。
太陽光発電の寿命と維持管理費
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年とされていますが、これは発電所の実際の寿命を示すものではありません。
設備の購入費用を17年間で償却するための基準として定められた期間です。
そのため、実際のところ多くのパワーコンディショナ―※は、保証期間が15年程度となっているのが一般的です。
一方、太陽光発電設備全体に期待される寿命はおおよそ30年と言われています。
この長期にわたる運用を維持するためには、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。
※パワーコンディショナ―
太陽光発電システムで発電された直流の電気を交流に変換し、家庭用の電気機器などで利用できるようにするための装置を指します。
維持管理費①定期点検費用
太陽光発電設備の定期的なメンテナンスは、法律で義務付けられています。
ただし、必要なメンテナンス項目は設備や発電所の環境により異なるため、一律に定められているわけではありません。
特定の異常を判断するのは、専門家でないと難しいことも多く、明確な基準もないため、専門業者に意見を求めることをおすすめします。
定期的な点検を怠ると、設備の異常に気づくのが遅くなり、結果的に発電量が低下するリスクが高まります。
このような発電量のロスを防ぐため、また長期的な費用対効果を最大化するためにも、定期的な点検は必須です。
具体的な費用の目安としては、50kW未満の発電設備であれば、年間約10~15万円程度。
一方、50kW以上2000kW未満の場合は、年間約100~200万円程度が一般的とされています。
ただし、これはあくまで一般的な価格帯で、設備の内容や点検回数によって費用は変動することを留意してください。
維持管理費②パワーコンディショナーの交換費用
パワーコンディショナ―の保証期間はおおよそ15年程度です。
この期間を超えるとメーカーの保証が適用されなくなるため、故障した場合の修理や交換には費用がかかります。
修理や交換の費用は、メーカーや種類により異なりますが、一般的には工事費を含めて1台あたり10~40万程度が目安となります。
また、故障の程度によっても実際の費用は変動します。
上記の金額は予算を組む際の参考値として考えるとよいでしょう。
維持管理費④保険
太陽光発電設備のメーカー保証は、無料保証と有料保証の2種類に分けられます。
無料保証は、主にパネルやパワーコンディショナ―の出力や製品に関する保証をカバーしています。
しかし、災害や事故による損害は無料保証の対象外となることが多いので注意が必要です。
一方、有料保証はより広範にカバーしており、災害や事故による損害も含まれるため、多くの所有者がこの保証を選択しています。
安心して太陽光発電設備を運用するためにも、メーカー保証の詳細や範囲をしっかりと確認することはもちろん、さらに必要に応じて保険加入の方法なども下調べをしておくことが重要です。
まとめ
この記事では、太陽光発電の費用対効果や維持管理費について解説しました。
太陽光発電設備を長期にわたり正常に運用するためには、定期的な保守点検は欠かせません。
検査内容は専門知識は必要なものが多いため、電気や太陽光発電に詳しい業者の選定が大切です。
この記事では主に経済的な側面から太陽光発電を解説しましたが、他にも「災害時の電力確保」や「環境への貢献」といったメリットもあります。
以下のコラムでも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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